⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
「………スミマセンでした。僕、花岡利則(はなおかとしのり)っていって…
マッちゃん、いや、梅野さんと同郷の幼馴染みなんです」

リビングに通された彼は、先程とは打って変わって、しおらしく肩を縮めた。


「ほっほう。その幼馴染みが…初対面にしては随分なご挨拶じゃありませんか」

慇懃に俺が尋ねると、彼はますます小さくなった。


「僕……てっきりあなたが妻子あるクセに彼女に手を出したって…思い込んでまして」

「…まあ、秋人さんがゲスいのは認めますけどね」
燈子がウンウンと頷いている。

…共感するな。



「さあマツコ?
どういうコトか、洗いざらい白状して貰おうか」

俺がキラリと目を向けると、彼女はばつが悪げにソッポを向いた。


「……だから、言ったとおりよ。
あの日、あの日は……何もなかったのよ…」

そら見たことか。

俺のドヤ顔をあっさりと無視し、燈子は先を促した。


「と、言いますと?」
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