懺悔
英二は閉じた目をグッと強く閉じた。
そして、覚悟を決めた様に見開くと秋生を見た。

「秋生・・俺、もういいんだ。」
「何がいいんだよ?」
「これって、あの子の復讐だろ?そうなんだろ?」

秋生は、たぶん・・と頷いた。

「高梨 水穂・・。」

秋生は英二の口から出た水穂の名前に身体がビクッと反応した。

「あの子の名前・・忘れられねぇよな。」

英二は天国を見るように、そこに水穂がいるかの様に天を仰ぎ見た。

【へぇ・・英二さん、貴方はその女性の名前を覚えているのですね。】

先程まで存在を消したかのように静かだったスピーカーから、あの声がした。

「・・・あの子の復讐だよな?」

英二はその声に聞いた。

【全て理解してるようですね。】

スピーカーの声が少し笑った。

「やっぱりそっか・・まぁそれだけのことしたから仕方がないよな。」

【開き直らないでください。】

今度は少し怒りが混ざった声になった。

「別に開き直ってないよ。自業自得ってこういうことだなって思って・・俺、この二年間苦しかったんだわ。
あんたにしてみれば勝手な言い分だろうけど、生きてても死んでるみたいだった。」

【今日は本当に死んでもらいます。水穂にしたことを・・そのまま貴方達に。】

スピーカーの声が震えた。

「今更言っても遅いけど、遅いってわかってるけど・・すまなかった。」

英二はそう言うと涙を流した。
英二は心底後悔し、謝っているように思えた。

【今更、遅いです。】

「わかってる・・・許してもらおうなんて思ってない。ただ言いたかったんだ。」

そう言うと英二は秋生を見た。

「秋生・・ごめんな!!」

秋生の眉間に一気に皺が出来た。



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