好きって言ったらどうする?
「バカはないだろ、バカは」

 竹ちゃんの顔が怒って赤くなった。

 知らない。私だって怒ってるんだから。あんなキス、嘘でしないでよ。

「バカはそっちだよ」

 私はつんと横を向いた。目の端に映る竹ちゃんの拳が震えている。

「俺の……」
「え?」

 竹ちゃんの方を見たら、彼の目がさっきよりも潤んでいた。

「俺の本気のキスを返しやがれ、このやろう!」
「え?」

 竹ちゃんの言葉に私は瞬きをした。

 いや、待て待て。あくまでも私をだますつもりなんだよ、このおちゃらけた男は。

「いくらでも返してあげますよ~、どうぞ~。エイプリルフールですから遠慮なく~」

 私の言葉を聞いて、竹ちゃんが右手で顔を覆った。そうして頬を真っ赤にして言う。

「違うんだよ。エイプリルフールのつもりじゃ……」

 竹ちゃんは前髪をかき上げて「くそっ」とつぶやいた。

「私、まだ仕事あるから、もう行くね。これ以上四月馬鹿に付き合ってらんない」
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