隣にいたくて

母はしばらく俯いていたが
私たちを見渡すと
覚悟を決めたように


「お父さんとは離婚しようとおもってる」

と、そうつげた

それはまだ中学生の亜美には
重すぎる話で

もっといえば小学生の来実には
理解できなかっただろう


私でさえ理解したくなかったのだから。


母が離婚という言葉を出した時
父の顔が一瞬申し訳なさそうに
歪んだのを今でも覚えている

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