それを愛と呼ぶのなら
だけどこのままなんて……思い残したことがあるなんて、嫌なのよ。


結局、私が押し切る形で、今日の予定は決定した。

調べたルートによると、最寄り駅から地下鉄に乗って、なんばへ。

空港行きの電車に乗り換え、岸和田駅を目指すことになる。


「岸和田って、なんか聞いたことあるかも」

「だんじり祭りじゃねぇか?結構有名だぞ」


テレビ中継なんかもしてる、と真尋がポロシャツに着替えながら言う。

言われてみれば、そんな気もするな。


「真尋は見たことあるの?その、だんじりってやつ」


サイドを少しだけ残して、後ろの巻いた髪を1つにまとめながら尋ねると、真尋の動きが一瞬、停止した。


「……母親が昔、連れてってくれた」


少し渋ってから答えた真尋。

真尋の中で、お母さんのことはあまりいい思い出じゃないのかな。

もしかしてそれは、私のお母さんのせい……?なんて。
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