それを愛と呼ぶのなら
「でも、お前を巻き込むべきじゃなかった」


……なんなの?

その一言で、堪えていた何かがプツンと切れた。


「ふざけないで」

「……え?」


テーブルの上のリモコンでテレビを消し、真尋の頬を両手で挟んで無理矢理こちらに向ける。

その目は、大きく見開かれていた。


「あんた、本当にあれでよかったの?」


踏み込んではいけない領域なんて、クソ喰らえだ。


「もっと他に、言いたいことあったんじゃないの?なんで他人を優先するのよ」

「……別に、そんなんじゃ」

「だったら何なの?似合わない作り笑い浮かべて、言いたいこと飲み込んで!」


泣きたくないのに、どうして意思はお構いなしに涙は溢れてくるんだろう。

それでも駄目だ。止まらない。


「人のことばっかり考えて、あんたが傷ついてたら意味ないじゃない!」


ぐちゃぐちゃでどうしようもなくて。本当はこんな姿を晒すつもり、なかったのに。
< 114 / 165 >

この作品をシェア

pagetop