それを愛と呼ぶのなら
マンションから徒歩3分ほどに位置するカフェで、私はモーニングセットを頼んだ。

ドリンクは、ブラックのホットコーヒー。

高校2年の途中までは砂糖とミルクひとつずつ入れてたんだけど、試しに飲んでみたブラックに慣れて、微糖すら甘く感じるようになってしまったんだ。


真尋はハンバーグではしゃいでた私を馬鹿にしたけど、こんなのだって飲めるんだから。

……なんて。


「……」


やだなぁ。この期に及んで、まだ真尋のこと考えちゃうなんて。


ウッドテーブルに肘をついて窓の外の景色をぼうっと眺める。

今日は月曜日。休んでいた街が動き出す日。

バッグを抱えたサラリーマンや、ローヒールで軽快に歩く女の人。それらは、今の自分からは遠く離れた存在のように思えた。
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