それを愛と呼ぶのなら
あんたにだけは、口にしてほしくない。


「許さないから!私と真尋を裏切り続けたあんた達を、死んでも許さない……っ!」


泣き叫ぶ私の手から、再びケータイが抜き取られる。


「……葵。もういい」


真尋が片腕で私を抱き寄せ、反対の手で通話を切った。

空虚な静寂の中で、私の泣き声だけが聞こえる。


「……どうせ今も一緒にいるんでしょうね、あの人達」

「……」

「壊してやりたい。二度と立ち直れないくらいぐちゃぐちゃにして、あいつらに復讐したい……っ」


唇を噛んだ。強く噛みすぎて、口の中に血の味が広がった。

そんな私を、真尋の温もりが優しく包む。


「ねぇ、真尋。どうやって死のうか?どうやって死ぬのが、あいつらにとって一番……」

「落ち着け、葵。大丈夫だから。何も心配ねぇから」


私の体を抱き寄せ、赤子をあやすかのように頭を優しく撫でてくれる。

真尋が大丈夫って言ってくれるなら、本当にそんな気がしてくるの。

真尋は不思議な力を持ってるね。
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