それを愛と呼ぶのなら
真尋は何も言わずに、寂しそうに笑うだけだった。


最後の瞬間に聞いてみたい。

真尋にとって、私との出会いに意味はあったのか。

私と同じ答えなら、私は嬉しい。




お互いの熱を求めて貪るように手を伸ばし、共に堕ちた私達。

“好き”だけでは足りなくて、“愛してる”を口にできるほど私達は大人でもなくて。

代わりに、泣いて、鳴いて、声が枯れてしまうまで何度もお互いの名前を呼んだ──そんな最後の夜だった。


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