それを愛と呼ぶのなら
バチっとぶつかった視線の先で真尋はあの儚げな笑みを浮かべていて、私はつい息を止めた。

何か言わなきゃ。そう思った私を、真尋が追い抜く。


「ごめん、葵。……一緒に死ぬって約束、守れねぇ」


その言葉の意味を、私は巧く飲み込むことができなくて。

思わず、「え」という間抜けな声が飛び出た。


「どういう……こと……?」

「そのままの意味だよ。俺は、お前と一緒に死ねない」


戸惑う私に、真尋は淡々と残酷な言葉を浴びせる。

夏場であるにもかかわらず、歯がガタガタと震えて、寒気がした。
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