それを愛と呼ぶのなら
真尋の表情はもう見えない。


「遺伝子が……半分だけ一致するんだよ、俺達」

「……え?」


ガツン、と頭を鈍器で殴られたような感覚を覚える。

真尋の言っていることが理解できない。したくない。


「葵。……お前、大きな怪我とか病気したことあるか?」

「……ううん、ない……。昔からお母さん、そういうところだけ異常なくらい過保護だったから……」

「……そうか。多分それは……お前の血液型がBではなく、Aだということに気付かれないためだ」


真尋は何を言ってるの?

私が、A型……?


「2年の時、生物でやっただろ。B型とO型の親からA型の子どもは生まれない」


確かに、授業で習ったことがある。

優性遺伝子と劣性遺伝子とかなんとか。


「ちょ、ちょっと待って!それじゃ、私の……本当のお父さんは……」

「……俺の父親、都築嶺二だ」


世界が終わる、音がした。
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