それを愛と呼ぶのなら
ごめんな、と短く謝る真尋。


変なの。

謝らなくていいのにね。

だってあの言葉は、私のためのものだったんでしょう?

だったら、謝る理由なんてどこにもない。


「お前の存在を知って8年……。実際に会ったお前は、すっげぇ息苦しそうで。……何が、ミスK高だよって思った」

「な……っ」

「……男どもが騒いでた“美人で完璧なミスK高の降谷葵”は、愛に飢えた、ただの女の子だった」


真尋の瞳が、切なく細められる。

ギリギリと、苦しくて胸が引き裂かれそうだ。


「一見強そうに見えるけど、本当は脆くて。すまして見せてるけど、表情がクルクル変わる……。そんなお前が……俺にとって唯一で最大の存在なんだよ」


大切な人が自分を大切に思ってくれている。

こんなに幸せなことって、他にない。

なのに、こんなに切ないのはどうしてだろう……。
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