それを愛と呼ぶのなら
真尋と出会って、共に過ごして。

もう二度と会えないとしても、彼がくれた全てを愛と呼ぶのなら、私はひとりでもちゃんと生きていける。


でも、もし仮に。仮に……もう一度、真尋が私の前に現れたとしたら。

もう離さない。

運命に逆らって、神様の逆鱗に触れたとしても……。




「……っ」

「……ッ」


あの頃と変わらず鋭い漆黒の瞳と、視線が絡む。

それだけで、体に電流が走ったような感覚になって。


私達は、まるでずっと探し求めていた何かを見つけた子供のように、無我夢中でお互いに手を伸ばした。




〈了〉



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