それを愛と呼ぶのなら
無条件に抱く安心感は、同じ痛みを知ってるからなのかな。

……ううん。寧ろ、それ以外に理由なんて見つからない。



小さなテーブルに並んだ料理を前に、真尋は小さく声をあげた。


「美味そう」

「ほんと?口に合えばいいんだけど」

「いただきます」


軽く手を合わせて、大皿に盛ったホイコーローに箸を伸ばす。

それに続き、私も箸を手に取った。


「ん。……美味え」

「ほんと?よかった」


真尋の口から発せられた一言にほっと息を吐いた私を見て、彼は目を細めつつ表情を和らげる。


「やっぱ見た目詐欺だな」

「ちょっと。一言余計だってば」

「褒めてるって言ってんじゃん」


目を伏せて、小さく笑う真尋。

褒め言葉ならいい……のか?


「あ、ねぇ。行きたいところ考えたんだけど」

「どこ?」

「せっかく大阪まで来たんだから、観光地行ってみたい。大阪城とか、通天閣とか」

「わかった」

「真尋は?どこ行きたい?」
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