それを愛と呼ぶのなら
「いや──」


さっき言った「ふたりの時間なんだから」という私の言葉を思い出したのか、言いかけた言葉を瞬時に飲み込み、口を噤んだ。

そして、眉根を寄せて考える素振りを見せる。


「行きたいところ……」

「どこか。ない?」

「んー……」


あまりに真尋がうーん、と唸り続けるため、静止をかけようとした刹那、「あ」と小さく声が漏らされた。


「何?どこ?」

「……何で大阪まで来て、って思うかもしんねーけど、いい?」

「いいよ。言って」


前のめりになって促すと、少し照れているのか、少し逸らされた目。

鼻頭を掻きながら、真尋はぶっきらぼうに口を開いた。


「……プラネタリウム」

「プラネタリウム……?」

「明日、七夕だろ?大阪は東京に次ぐ都市だし、本物は見れねえだろうから」


無愛想な真尋の口から出たとは思えないような言葉に、思わず目が点になってしまっていたらしく。そんな私の顔を見た真尋は更に眉間の皺を深くして、私のおでこを弾いた。


「ったーい!」

「今の顔、なんかムカついた」

「ムカついたからってデコピンしなくたっていいでしょ!?」
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