それを愛と呼ぶのなら
「……っ」


何があっても声が出ないようにぐっと唇を噛んで、電話の履歴を開く。と、そこには……


「……！？」


履歴欄が、【都築嶺二】という人物で埋め尽くされていた。その名前に心当たりはない。

ざわ、と、嫌な予感ばかりが胸に広がる。

どうにか払拭したい。そう思ったら、考えるよりも先に指が発信ボタンを押していた。


耳元で数回鳴り、唐突にぷつりと途切れた呼び出し音。


「切られた……？」


眉根を寄せつつ、もう一度【都築嶺二】に電話をかける。

再び鳴ったコール音の後に、電話の向こうから低い声が聞こえてきた。


『……もしもし』

「あ……っ」


繋がった。電話をかけたんだからそんなこと当たり前なのに、言葉に詰まってしまう。


『……フルヤミヤコ、サン？』

「……っ」


唐突に呼ばれた、降谷美弥子というお母さんの名前。

どうしよう……！と、ひとり慌てふためいていると、電話の向こうから軽蔑するような声が聞こえてきた。


『あんただろ？親父の恋人』

「え……」

『尤も、あんたは家庭持ちらしいけど』
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