それを愛と呼ぶのなら
慌てて換気扇つけたけど……真尋が入る頃には、少しでもマシになってるかしら。




部屋に戻ると透明のグラスがふたつ、テーブルの上に並んでいた。

同じ量の中身を見て、きゅ、と胸が締め付けられる。


「ごめんね、お待たせ」

「いや。早速観るか?」

「うん」


私の返事を聞くなり、真尋は部屋の隅に置いた紙袋を引き寄せる。

取り出した箱の中身は、ポータブルDVDプレイヤー。


「コンセント頂戴」

「ん」


綺麗にテープで留められたビニール袋に入っているコンセントを受け取り、早々にプラグを挿し込んだ。

反対側も、真尋が出したプレイヤーに挿す。


ふたつ折りのそれを開き、丸いボタンを押すとディスクを入れる蓋が簡単に開いた。


「はい、パス」

「俺かよ」


近くのツタヤで借りてきたDVDを手渡すと、小言をこぼしながらも渋々セットしてくれた。
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