それを愛と呼ぶのなら
私には絶対に出来ない職業だわ……なんて思いつつ、画面を眺める。

想いが通じあったふたりの幸せな時間は、長くは続かなかった。


『ずっと一緒にいたかったけど……さよならだね』

『……うん』

『いつかお互いに幸せになって、また会える日が来たら、思い出になった今を笑って話そう?』


離れたくないのに、離れなくちゃいけない。それってやっぱり、つらいのかな。

こんなにぐちゃぐちゃになって離れたくないと思うほど何かに執着したことがない私は、画面の中で繰り広げられる、本来なら感動するはずのシーンに感情移入することは出来なかった。


『じゃあ……またね』

『うん、また』


気持ちは変わらないのに、ふたりを取り巻く環境がそうさせた。


そして数年後、大人になって再会したふたりの隣には、お互いが知らない人の姿。


『……久しぶり。元気そうでよかった』

『うん……そっちも。うまくやってるみたいだね』
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