それを愛と呼ぶのなら

4日目の躊躇

──好きって、どんな気持ち?




「晴れてよかったな、今日」

「そうねー」

「まぁその分人も多いけど」

「土曜日だしね」


周りを見回してはぁ、と溜め息を吐いた真尋。

こんなにあからさまに嫌な顔をするなんて、よっぽど人ごみが嫌いなのね。


「せっかくUSJに来たんだから、楽しまなきゃ。ね?」

「わかってっけど……」


いつもと少し違って歯切れの悪い真尋は、相変わらず女の子からの視線を集めている。

頭に耳のついたカチューシャをつけた女子高生なんかキャーキャー言ってるし……さすがね。

まぁそれが人混み嫌いの理由なのかもしれないけど。


「何か乗りたいのある?」

「フライングダイナソー」

「フライングダイナソーって、逆さまのやつ?」

「そ。テレビのCMで見て気になってた」


テレビのCMでやってるくらいならかなり人多いと思うけど……


「いいよ、行こっか」


何でもいいよって言われなかったことが嬉しくて、自然と足取りが軽くなった。
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