それを愛と呼ぶのなら
クールな見た目とは打って変わって、結構ハードなアトラクションが真尋は好きらしかった。


「ジェットコースターなんか乗るの、何年ぶりだろ」

「しばらく乗ってないの?」

「ていうか、こういうテーマパーク自体長いこと来てない。多分、小学4年の頃にディズニーに行ったのが最後」


理由は問わなくてもわかった。

それをわざわざ真尋の口から聞く理由もなかったから、問わないでおく。


「じゃあ今日は1日、たくさん乗らなきゃね」


なんてったって最後なんだから……という言葉はすんでのところで飲み飲んだ。

言ったら、今ここに流れる空気が壊れてしまう気がして。

なんて……何に怯えてるんだろう私は。


「絶叫系中心に回る?」

「お前はそれで大丈夫?」

「余裕よ」


自信満々に言うと、真尋は呆れたように笑った。

口では意地悪に「バーカ」なんて言うくせに、見つめる瞳は優しいんだ。


「先に音を上げたほうが負けだからな」

「負けたら何するの?」

「何でもひとつ、相手の言うこと聞く」


今度は私が笑ってしまう。

言うこと聞くって……小学生か。
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