それを愛と呼ぶのなら
「負けないからね、私」

「俺も。絶対先にギブアップさせてやる」


余裕綽々の笑みを浮かべる真尋に、闘争心が一層燃えてくる。

ちょっとやそっとでくたばったりしないんだから……!




なーんて意気込んでたんだけど、


「ほら、次行くぞ」

「ちょ……っ!もう!?」

「当たり前だろ?待ち時間かなりあるし、休憩出来んじゃん」


額に汗を浮かべる私を余所に、真尋はさらりと答える。

7月なのに、涼しげな顔を浮かべてるこの男……


「本当に人間……?」

「……何言ってんだ、お前」


暑さで頭やられたのか、とでも言うような目で私を見る真尋。その首を伝う雫が眩しい。

簡単に勝てるとは思ってなかったけど……この男、想像以上に強敵。


「なんだ?もう終いか?」

「今の顔……完全に悪役よ」
< 82 / 165 >

この作品をシェア

pagetop