それを愛と呼ぶのなら
悔しいけど、余裕綽々な真尋を前に勝てる気がしなくなってきた。


「……ちなみに、私が負けたら何言うの」


上目遣いで恐る恐る尋ねてみると、真尋は今まで見せたことのないような悪い笑顔を浮かべて。


「負けないんじゃなかったっけ、ミスK高二冠の葵チャン?」

「……っ!」


む、むかつくー!


「ええそうよ!負けないわよ絶対!」


挑発的な一言に、消えかかっていた闘争心に再び火が点いた。

負けるもんですか……!

ギロッと真尋を睨みつけると、真尋はやっぱり余裕の笑みを浮かべてた。




それから数時間、


「……降参。参ったよ」


先に音を上げたのは真尋の方だったけど、納得いかない。

表向きは参った、なんて言いながら、やっぱり疲れてる様子はないから。

絶対、私の負けだった……。


「で?何を言うんだ?」

「……本当に何でもいいのよね?」

「勿論。負けたからな」
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