それを愛と呼ぶのなら
何よ、それ……。ミスK高二冠の女、なめんじゃないわよ。


「真尋が私に言うはずだったことを私が聞くわ」

「……は?」


切れ長の目をまん丸にして、真尋は私を見る。


「だから早く言ってよ」

「いや、それは……」

「何でもって言ったでしょ?」


逃げることは赦さない。

同じ運命を辿ると決めた時から、私達はきっとお互いから逃げることは出来ないの。


「……考えてねーよ」

「嘘よそんなの」

「ほんとだって」


渇いた笑みをこぼした真尋は、芝生に腰を下ろす。当たり前のようにその横に座るけど、彼の横顔は見えなくて。

ぎゅっと、胸が苦しくなる。


「本当に、何もないの……?」


真尋が着るシャツの裾をぎゅっと握ると、視線だけをこちらに向けて、消え入りそうにまた笑うんだ。


「じゃあ……ひとつだけ」

「……うん。何?」

「お前の特技教えて」
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