それを愛と呼ぶのなら
ていうかそれ、特技っていうより趣味なんじゃ……。


「今、なんだそんなことかって思ったろ」

「何、急に。思ってないよ」

「ベンチプレスつったって、90キロ上げんだからな。平均よか全然重いんだぞ」

「90!?」


服の上からじゃ全然わからないけど……結構鍛えてるんだ……。

細身で長身で鍛えてて、顔もよくって……そうだ、頭もいいって聞いたことがある。

改めて、なんなんだ?この完璧人間は。


「そりゃモテるわけだ」

「いきなり、なんだよ」

「別に?」

「お前も人気あるだろ。いたぞ、俺の周りにも。お前のこと好きなやつ」

「はぁ?なんで」

「K高の文化祭に行った時に見かけたんだと。美人でスタイルよくて、一目惚れしたんだーって叫んでた」


何それ……全然嬉しくない。

私の表面しか見てないんじゃない。

……って、あれ?

私がさっき考えたことも……真尋のスペックしか挙げてない……?

それって、私のことを好きな男と、何が違うんだろう。


「その時は軽く受け流したけど、言ってやりたいね。簡単に好きになっていい女じゃねえぞって」

「それ……どういう意味よ」
< 86 / 165 >

この作品をシェア

pagetop