それを愛と呼ぶのなら
「何食う?」

「結構沢山あるのね。歩き回ったし、ガッツリ食べたいかも」

「じゃあここは?」


真尋が指さしたのは、ニューヨークエリアにあるレストラン。ここからも近い。


「いいね。ここにしよう」


気を遣ってくれてることは、薄々感じていた。あまり自分から喋らない真尋が、いつもより少しだけ饒舌だったから。

十中八九、こんな空気になってしまったのは自分のせいだと思ってるんだろうなぁ。

だけど今の私には、真尋のせいじゃないよ、と否定する心の余裕はなかった。




「葵。お前、何型?」


ナイフで器用に切ったお肉を口に運びながら、真尋は私に視線を向けることなく尋ねた。

何型、って……。


「血液型?」

「他に何があるんだよ」

「そりゃそうだけど」


突拍子もなく聞かれたら困惑するに決まってるでしょ、普通。

うーん、この男はそこまで考えてないか……。


「昔、母親からBって聞いたけど。うち、父親がBだから。それが何?」

「いや?別に。ちょっと気になっただけ」

「何それ。あんたは何型なのよ」

「俺は……A、だったと思う」
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