それを愛と呼ぶのなら
何、その曖昧な回答。

思わずつっこみたくなったけど、やめた。

血液型なんて普段から意識するものでもないし、うろ覚えでも別に不思議じゃない。


「ていうか美味しいわね、このお肉。頼んでよかったわ」

「あぁ、そうだな」


その後も、当たり障りのない会話がぽつぽつと続いた。

さっきのアトラクションおもしろかったね、とか、あのパレード見たいんだとか、そんなの。

楽しかったけど、そこにいつもの安心感はなかった。




「そろそろ帰るか」


日もすっかり落ちた頃、真尋が何気なくそう言った。

パーク内も、昼間こそ人でごった返していたものの、この時間帯にもなると少し空いたように見受けられる。


「そうね。帰ってご飯作らなきゃ」

「外食でいいんじゃないか?疲れてるだろ」

「駄目よ、野菜あんまり摂ってないんだから」

「主婦かよ」


クッと喉を鳴らして笑う真尋の横顔が、私の胸を打った。

ドキドキと駆け足になる心拍数は、自分の意思では抑えられない。
< 93 / 165 >

この作品をシェア

pagetop