それを愛と呼ぶのなら
真尋のお父さん……都築嶺二という人間は、どんな人物なんだろう。

お母さんとはどこで出会った?どうして今の関係になった?

本当は、会って口を割るまで問い詰めたい。

理由や経緯を聞いて、責めて罵って、私達が傷ついた以上に心をズタズタにしてやりたい。


それだけしたって、まだ足りない。

私を支配する憎しみはこんなにも大きいのに……ひとりで抱えていたであろう真尋にかかった負担は、一体どれほどのものだったのかな。


キッチンから顔を出して、ベッドの上で寝息を立てている真尋の様子を伺う。

胸がぎゅうっと締め付けられたその意味を、私はまだ知らないでいるんだ。




「どこか行きたいところない?」


床に座ってご飯を頬張る真尋に、唐突に問いかける。

真尋はお箸を口の中に突っ込んだまま、私を見た。


「どこかって、何急に」

「だって、私の行きたいところばっかりだったじゃない。あんたはそういう場所ないのかなって」


あ、眉間にシワ。

そんなに気難しそうな顔しなくていいのに。


「……別に、特には……」

「嘘。一瞬間があった」


続けて「どこ?」なんて問えば、今度は困った顔。

真尋ってこういう顔すること、多いよね。


「……お前が行ったってつまんねぇとこだよ」

「つまんなくていいよ」

「……でも」
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