紳士的な狼の求愛
自分のペースを取り戻そうと、仕事の話を出す。
「松尾のこと、よろしくお願いします。バイヤー経験は浅いですが、ガッツはある子なので」
「うん。青山さんの、そういう後輩を可愛がってるところ、好き」
思わず、むせそうになった。
「ねぇ、そろそろ敬語やめない? 個人的に会ってるんだからさ」
「……なんでそんなに素直に思ったこと言えるの」
「性格。青山さんが固いのと一緒。嫌?」
「嫌じゃない……。面白いと思う」
私はうつむいてパスタをくるくるしながら、小さな声で言った。
店を出ると、有馬くんが言った。
「青山さんのために飲み直そうか」
「……何のために?」
「担当部門変更記念?」
「……どこで?」
「青山さんち?」