紳士的な狼の求愛

「有馬くん、あの、」

「ゆうと、です」

「悠斗……、私、こんなだけど」

「玲子がいい。今日なかなか落ちない玲子を見て確信した」

それってどういうこと?
問い返そうとした時、
私の首に、彼の柔らかい唇が当てられた。

あまりにも甘やかな感覚に、理性が揺らぎ、メスとしての欲求が頭をもたげてくる。

彼は私の耳元で甘く囁いた。

「では、ありがたくいただきます」


……驚くべきことに、
思ってしまった。


この人に、食べられたい、と。

身も心も、あなたのものにしてほしい、と。

そして、この気持ちを伝えたい、と。


私は、彼の背中に手を回し、いい香りがする首筋に顔をうずめた。


「……食べていいよ。好きなだけ」



悠斗は、私の顔を覗き込んできた。
じっと見つめて、

「うわ。いざとなると、めっちゃドキドキする」

なんて、真面目な顔で言う。
彼の、こういう素直なところに魅力を感じたし、憧れる。

……あぁ、そうか。
私が持っていないものを持ってるから、こんなにも惹かれたのか。

そして、それは確実に私に伝染してきている。


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