どうしても言えない言葉
「あーそうだよ!俺は!ここで!大澤の体操着の匂いを嗅いでたんだよ!」
「……」
何か文句あるか!そう言いたげな目で私を見てくる私の長年の片想いの相手、相田くん。
「……えっと、大澤くんと、付き合ってるの?」
相田くんから目をそらしながら聞いてみる。
「は?付き合ってたらこんな気持ち悪いことしねーよ」
「あ、気持ち悪いって自覚あったんだ」
「あ″ぁ″?」
つい、口から出た言葉に相田くんが凄い顔で睨んでくる。
怖い、凄く怖い。
どこのチンピラだ。
でも、だってこれは……。
「おい、片岡。もし誰かにこのこと話したら殺すからな」
彼と話してみたいとは思っていた。
だけど、だけどね、こんな話はしたくなかった!!
話って言うかただの脅迫だけど。
ただ、その日の私はなんというか頭がおかしかったのかもしれない。
教室を出ていこうとする彼の背中に
「ねぇ!大澤くんのことが……好き……なんだよね?」
そう問いかければ、彼は足を止めこちらを向いた。
無言は肯定だと思い、
「わ、私、私に協力させて!」
本当に、その時の私はちょっとおかしくてでも、大胆だったのかもしれない。
そして、そのときの彼もまた、突然のことに頭が動かなくなっていたのかも知れない。
こうして、私と彼の奇妙な協力関係が誕生した。