どうしても言えない言葉

4 相田健太郎という人


それ以来、私と彼は以前よりぐんと距離が縮まった。

だけど、ある一定の距離までだ。

彼が私を見ることはないのだから。

「はぁー、ほんとに可愛い……」

今も、彼は私の目の前で大澤くんを見つめながらふにゃふにゃしている。

私の知っていた相田健太郎という人は、こんな顔をする人ではなかった。

恋をすると女は綺麗になるという。

彼は、綺麗にというか女子力が上がった気がする。

しかし、そんな彼でさえ可愛いと思ってしまう私は相当なのだろう。

どんな彼を見ても、嫌いにはなれないのだ。

彼が、男性を好きだとしても……

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