強面の君
「それで昨日は告白できなかったのね。」
こくこく頷く。
今、声を出すと震えてしまいそうだったから。
あれ、菜々子の声こんなに低かったっけ。
「それで昨日は泣き明かして一睡もしていない。だから顔色が悪いのね。」
確かにみずほの目はいつもより腫れぼったかったが、泣いてすぐに冷やしたため目に見えるほ
どでもなかったのに
菜々子、気づいてたんだ。
妙なことに感心していると、ぶわっと菜々子の背に真っ赤な炎の幻覚が見えた。