強面の君




永田も







「なんだ。噂や顔に似やわず結構誠実なやつじゃん。」






そんなこと言うから柄にもなく照れてしまった。









「顔にもって、お前、結構はっきり言うな。」







思わずそう言うと






「まあね。みずほはあんたのこと優しい人だって言ってた。






みずほはあんたに騙されてるって思ってたけど、









噂に騙されてたのは私の方だった。」






みんなにそう言われて始めてこのクラスの一員になれた気がした。






人は大抵俺を見ると怯える。





話もできない






それが辛くて





サボり続けた





逃げられないように胸ぐらをつかむことはあっても



喧嘩で人を殴ったことはない。




それでも俺をみんなして悪者にしようとする。




その経験が長いあいだ俺を蝕んで俺はいつしか人と関わることをやめてしまった。






きっとそのせいで俺を知る人はいなくなり




どんどん噂が拡大していったのだろう






ようやく息が吸える。










「・・俺に優しさはねーよ。」







それでももともとの俺を見つけてくれたのはあいつだ。




そう思ったとき








俺の答えは見えたんだ。
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