僕が君の愛
8・君が僕の愛
プレゼントのラッピングを剥がしてゆくかの様に。肇のその手によって。加織が身に着けていた衣服は、一枚一枚と丁寧に脱がされ、ベッドの脇に追いやられていた。
月明かりでもわかる程に、上気している加織の頬。今まで目にしたことのない表情。対する肇の髪もまた、いつもと違いひどく乱れていた。肇を掻き寄せる加織の手によって。
未だに一枚も衣類を脱いでいない肇に、加織が視線で非難を訴える。憂いを増し、薄く水を張ったようなあだっぽい眸で。
加織の胸元に埋めていた顔をあげた肇は、心得た様に片目を細める。勢い良く上体を起こし、自身のシャツに手をかけながら。肇は小さく笑みを漏らした。疑問を感じた加織は、そのままに言葉を投げかける。
「どう……したんですか?」
「いや、ただ。加織は僕の予想を裏切るのが上手だな……とね」