【私の行く先】
「あのさ...奈美。」
「どうしたの。」
「やっぱなんでもないや。」
どうしたんだろう。
いつも見せない動揺した姿。
私は不思議に思った。
「そういえばさ。今日だね。」
「何が。」
こんなこと聞かなくたってわかる。
あれから十年...。
「新しい部長が来る日。」
そっちか‼︎
「確か、社長の一人息子だっけ。」
「よくはしゃいでるんだよね。女子軍が、かっこいいって。」
「ふぅーん。」
「っもう。相変らずなんだから!」
カフェの人たちもよく言ってた。
パリへ留学していて、最近帰ってきたとか。
...でも、私には関係ないこと。
「別に、キャーキャー騒いだって、何の得もないでしょう。」
「もう。
でも、もしかしたら奈美の旦那様になったりして。」
「変なこと言わないで、絶対にないから。」
「はいはい。」