Tender Liar
第1章
私はその日、朝からずっと機嫌が悪かった。
仏頂面をした自分の顔が、バスの窓に映っている。
何だって、せっかくの休みにわざわざ学校へ行かなければならないのか。
それは、先輩に呼び出されたからだ。
その先輩は、正直あまり好きではないし、面倒な人だった。
でも、仕方ない。
ここで先輩を無視して、後でいろいろ言われることのほうが面倒臭い。
私を呼び出したその先輩は、校門のところで私を待っていた。
とりあえず、挨拶と、待たせてしまったことに対しての謝罪をする。
その人は、いいよいいよ、と言ってから、私に「ついて来て」と言って背を向けた。
私はその背中の後を、言われた通りついて行った。