花京院家の愛玩人形

「紫信、彼は花京院 優斗(カキョウイン ユート)。
僕の父親だ。
イタリアでアートディーラーをしている」


「あ… あのあのあの…
は… 初めまして?」


「お父さん、彼女は紫信。
僕と一緒に暮らすことになった女性です。
ちなみに彼女は元人形ですが、全責任は僕が負いますので、お父さんに迷惑はかけません」


「え…
元人ぎょ…??
え… え…
一緒にくら…くら…???」


一人は淡々と。

一人は狼狽えつつ。

一人は呆気にとられて二の句も継げず…

って、こんなフワっとした説明で終了かよ。
てか、絶対ェ終了にはならねェだろーがよ。


「さて次に、仕事の話ですが。
メールしていただいた、新規顧客の調査報告」


「『さて』じゃないよ、要く─────ん!!??
どーゆーコト─────!!??」


ほーら、やっぱり。

サクっと別件に移行しようとした要に、優斗は噛みついた。

一人暮らししている未成年の息子が、同棲すると言い出して。
その上、元人形だとかいう得体の知れない人物が相手で。

親として、『ハイ、ソーデスカ』で済むワケがない。

だから…


「あぁ、なんて美しい女性なンだ!
要くん!彼女、もっと近くで映して!」


この反応は予想外だよ、髭ダンディ。

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