花京院家の愛玩人形

『学生の身でナニ言ってンだ』なんて、諫めるトコロだろーがよ、フツー。

それ以前に、『元人形とか、妄想乙』なんて、頭のビョーキを心配するトコロだろーがよ、フツー。

なのに、なんなの?
このオヤジ。


「…ナンナンデスカ?
…口説くつもりデスカ?」


二度と元には戻らないンじゃないかと思うくらい深い皺を眉間に刻み、さらにこめかみに青筋を立てて、要は画面の中の優斗を睨みつけた。

けれど、そんな鬼の形相にも、ダンディは怯むことなくハイテンション。


「ハっハー!
この私が、愛する要くんの恋人を横取りするワケないじゃないか!
美を観賞したいと思うのは、人として当然!
そして忌憚なく褒め言葉を口にするのは、イタリア男として当然さっ!」


「お父さんは日本人です、お忘れなく」


「それはそうと、祝福させてくれないか?
次の長期休暇にでも帰国」


「それはそうと、新規顧客の調査報告書、ありがとうございました。
いつもながら完璧でした」


「礼には及ばないさ!
要くんの娘たちは、私の孫たち。
一生かけて大切にしてくれる客…もとい嫁ぎ先かどうかを調べるのは、当然のことだよ!
それはそうと、帰国して『要くん&紫信さん同棲記念パーティー』を盛大に」


「それはそうと、そろそろ年頃を迎える娘たちが数人待機中なンですが、どうしましょう?」


「あぁ、それならすぐにでもコチラに向かわせてくれ!
彼女たちは本当に引く手数多でね、嫁ぎ先候補もわんさと待機中だ!
それはそうと、盛大に知り合いも招待して」

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