花京院家の愛玩人形
ダレがダレに頼み事してンだかわからなくなってくる絵面だが、一応コレは紫信のお願いターン。
「もう一脚椅子を増やして、わたくしもお喋りの仲間に加えていただけませんこと?」
「もちろんだ」
「あと、レース針と糸を買っていただけませんこと?」
「もちろんだ」
「それで、この度嫁がれることが決まったお嬢様方に、ベールを編んで差し上げてもよろしいかしら?」
「もちろん…
…
え?どうして?」
おや?
コレは本当に、彼女のためのお願いターン?
どれもみんな、彼女には利がないような気がするケド?
無条件でコクコクと縦揺れしていた頭を止め、要は紫信の顔を下から覗き込んだ。
すると彼女は、誰もいないはずなのにキョロキョロと辺りを見回し。
誰もいないはずなのに身を屈めて要の耳に唇を寄せ。
「わたくし、早く皆様と仲良くなりたくて…
見え透いた贈り物攻撃は逆効果でしょうか?」
なんて、誰もいないはずなのに小声で囁いた。
ハイ!
いちいち可愛すぎ死ねる!
眉を下げた不安げな表情も、可愛すぎ死ねる!
近距離からの天使の一撃をノーガードで食らって、100万回は死──ね──る───!!