花京院家の愛玩人形

「ぁぅ…それは…
ごめんなさい。
わたくし、本当は少し寂しくなって…
ご迷惑でしたかしら?」


「いや、迷惑とか、全然、全く、露ほども。
むしろご馳走様デス」


バカップルか。

本当に、そうなのか?

もう一度言おう。
花京院 要は、空気な男なのだ。

細く鋭い目が印象的なシャープで端正な顔立ちは、長め&重めな前髪でほぼ人目に触れず、ブチ壊しだし。

単独行動を好み、ほとんど喋らないし。

喋っても、授業中に発言を求めた教師が『なんて?』と聞き返すくらいボソボソだし。

その上、人形作家であるという事実が、『アイツ、美少女フィギュアを自作してるらしいゼ』なんて噂に変換された日にゃ…

そりゃ『年上の帰国子女』っつーハードル高めな設定も一瞬で消し飛び、『ヒョロガリノッポの陰気なキモオタ』認定されるわ。

空気扱いのボッチにもなるわ。

なのに…


「スーパーの袋、貸して。
持つから」


「まぁ、ありがとうございます」


「夕飯、ナニ?」


「あ、中はご覧にならないでくださいまし。
出来上がってからのお楽しみですわ」


バカップルどころか、夫婦か。

本当に、そうなのぉぉぉぉぉ!?

どっからどー見てもイイトコのご令嬢なドーリィ美少女とオタクな空気男が、所謂そーゆーアレでウラヤマな関係なのぉぉぉぉぉ!!??

< 116 / 210 >

この作品をシェア

pagetop