花京院家の愛玩人形
「ぁぅ…それは…
ごめんなさい。
わたくし、本当は少し寂しくなって…
ご迷惑でしたかしら?」
「いや、迷惑とか、全然、全く、露ほども。
むしろご馳走様デス」
バカップルか。
本当に、そうなのか?
もう一度言おう。
花京院 要は、空気な男なのだ。
細く鋭い目が印象的なシャープで端正な顔立ちは、長め&重めな前髪でほぼ人目に触れず、ブチ壊しだし。
単独行動を好み、ほとんど喋らないし。
喋っても、授業中に発言を求めた教師が『なんて?』と聞き返すくらいボソボソだし。
その上、人形作家であるという事実が、『アイツ、美少女フィギュアを自作してるらしいゼ』なんて噂に変換された日にゃ…
そりゃ『年上の帰国子女』っつーハードル高めな設定も一瞬で消し飛び、『ヒョロガリノッポの陰気なキモオタ』認定されるわ。
空気扱いのボッチにもなるわ。
なのに…
「スーパーの袋、貸して。
持つから」
「まぁ、ありがとうございます」
「夕飯、ナニ?」
「あ、中はご覧にならないでくださいまし。
出来上がってからのお楽しみですわ」
バカップルどころか、夫婦か。
本当に、そうなのぉぉぉぉぉ!?
どっからどー見てもイイトコのご令嬢なドーリィ美少女とオタクな空気男が、所謂そーゆーアレでウラヤマな関係なのぉぉぉぉぉ!!??