花京院家の愛玩人形
「雨に濡れてしまったね。
次からは、坂の下にある図書館で待つといい」
「まぁ…
そんなお優しいコトを仰ると、わたくし、頻繁に通ってしまいそうですわ」
「君が望むなら、毎日でもご馳走様デス」
そんな会話を交わし、傘を寄せ合って坂を下っていく、歴然たる非リア男と歴然たる人生イージーモードの美少女。
『解せぬ』を力いっぱい物語る表情で二人を見送る面々の中、目をギラつかせる一人の男と、一人の女が…
不穏デスネ。
ソーデスネ。
男の名は、コージ。
要と同じクラス。
でもって、アレ。
リア充代表のようなヤツ。
イケメンで、人気者で、チャラ…いやいや、博愛主義者。
ちょっと仕掛けると、女のコはみんな彼に夢中になった。
仕掛けてない女のコでも、勝手に彼に夢中になった。
その全てに、彼は愛を注いだ。
女のコはみんな花。
彼の目を楽しませ、心を潤し、そして様々な欲を満たしてくれる。
たまには雑草レベルのコもいるケド、気紛れに摘んでみるのも一興じゃない。
そんなコージが、紫信に目を付けた。
あのコは、そこらでよく見かけるただの花じゃなかった。
ジュエリーケースの中で咲く、白蝶貝で作られた白薔薇のようだった。
是非ともあのコを手折りたい。
自分を取り巻く花園に加えたい。
まぁ、チョロいだろ。
なんせ敵は非リア男、花京院 要なのだから。