花京院家の愛玩人形
もっと攻めなければ。
スキンシップを多用して。
ユイは要を追って誰もいない廊下に出た。
駆け寄って隣に並び、シャツの袖を掴んで寄り添ってみる。
ついでに長身の彼をきゅるんと見上げ、グロスを塗った唇を尖らせてみる。
「一緒に行こって言ったのに…
置いてかないでよォ」
「あー…」
「ねェ、だめぇ?
私、花京院くんと話してみたいなって、ずーっと思ってたの」
どう?コレ。
決定的ではないが、明らかな好意が見え隠れしてて。
『まさかこのコ、僕のコトを?』的甘い予感にドキっとしちゃうだろ?
「えー…
別に話なんてないし、近い」
「‥‥‥‥‥は?」
あれェェェェェ!?
前言撤回ィィィィィ!?
逆にドキっとさせられたぁぁぁぁぁ!?
ボソボソと明確な拒否とか、ソレなんてギャップ?
てか、長い前髪の隙間から見えた冷たい眼差しにドキっとか、どーした私ィィィィィ!?
「か…花京院くんってクールなンだ…
てゆーか、ちょっと前髪切ってみれば?」
「…なんで?」
「カ…カカカッコいいから…///」