花京院家の愛玩人形
ハイ、ますますワケがわからない。
カリソメとか、難しーコト言うのヤメテ。
「わたくしも教えていただきたいわ。
あなた様が、このような沈黙を求められる場所で、敢えてわたくしに話しかけられる意味はなんなのでしょう?」
「えっと…
君に興味があるって言ったよね?俺」
「どなたにでも、そう仰るのでしょう?」
本から目を離した紫信はコージを見て眉を下げ、微かに唇を綻ばせた。
あちゃー…
軽薄な思惑を見透かされちゃってるカンジ?
でもそんな風に笑うってコトは、見透かした上で満更でもないカンジ?
なるほど、そーか。
お嬢様は刺激をお望みか。
退屈な毎日をブっ壊してくれそうな、軽くて危険な男がお好みか。
恋の狩人、ふっっっっっかぁぁぁつ!
ご希望通り、爽やかスマイルなんてかなぐり捨ててやらあぁぁぁ!
有無を言わさず花を毟って奪い去る勢いで、迫ってやらあぁぁぁ!
「フっ…
否定はしないよ。
女のコはみんなそれぞれに可愛いから、誰も彼も俺のモノにしたくなる」
口角を皮肉に持ち上げて。
軽く片目を閉じてみせ。
「でも…
こんなにも欲しいと思ったのは、君がハジメテかもね」
アナタ色に染めてとばかりに誘う紫信の白い肌に、コージは手を伸ばした。