花京院家の愛玩人形

なんだかんだと攻めあぐねている間に、もう梅雨は明けてしまう。

美化月間も終わってしまう。

だから、最後の手段に出たワケですよ。

雨のやみ間、ごみバサミを持って中庭をうろつく要に、ごみ袋を持ってつきまとい。

水溜まりで足を滑らせたフリをして。

ごみ袋を投げ捨て、要の腕の中へ強引にダ───イブ!

もちろん、オッパイを押しつけておりマス!

この私にここまでさせた男は初めてだよコノヤロー、褒めてやる。

でも、もう落ちろ。
上目遣いと柔らかな肉の感触と、髪から漂うシャンプーの香りで落ちてしまえ。

要の手から離れたごみバサミが、カランと音を立てて地面に転がる。

さぁ、その手でギュっと抱きしめて…


「あー…
君、この間からいったいナニがしたいの?」


ユイの背には回らなかった手で頭を掻き、要はボソボソと訊ねた。

え…
ナニがしたいのって…


「突然、やけに親しげに話しかけてきて」


「えと… だから私…
花京院くんと話してみたいナって…」


「やたら近いし、ベタベタ触るし」


「そ…そうだっけ???」


「バスケよりも中二を極めたテイコー戦隊キセキレッド級前髪チョンパにしろだとか。
上半身裸が正装の、江○2:50になれだとか。
ロ○ート・プラントばりのシャウトをカマせだとか言うし…
君、僕をなんだと思ってンの?」

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