花京院家の愛玩人形

「ちょ… 待って?待って?
私、ソコまでは言ってない」


そう、言ったのは。

1.もう少し前髪を切って、実はそう悪くない顔面を晒しましょう

2.喉元までガッチリ止めたシャツのボタンをいくつか開け、ラフな雰囲気にしてみましょう

3.ボソボソ喋らずに声を張り、暗いイメージを払拭しましょう

こんなモンだ。

フツーだろ?
フツーに今時だろ?

それがなんで、オヤコ○グラコロなフツーじゃない人になっちゃうの。

変なコを見るように、若干引いた顔でユイを見下ろす要。

鳩が豆鉄砲を食らったように、唖然とした顔で要を見上げるユイ。

あ。

コレ、ダメなヤツだ。
全く伝わってないヤツだ。

モーションをモーションだとわかってもらえなかったら、ソレって単なる異常行動じゃん!?

今の私、まさに変なコじゃん!?


「さっき水溜まりで滑ったのだって、明らかにわざとでショ?
ほんと、いったいナニが」


「私!
好きなの!花京院くんが!!」


『変なコ』レッテルを剥がした挙げ句ビリビリに引き裂いてなかったことにする勢いで、ユイはとっておき爆弾を投下した。

えぇ、史上最大のとっておきデスよ。

今まで自分から告白したコトなんてなかったのに。

好き好きオーラをチョイチョイ出して、後は余裕の告白待ちってスタイルを貫いてきたのに。

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