花京院家の愛玩人形

「あー…
そーゆー…」


さらに髪を掻き回しながら、空を仰いで要は言った。

そうだよ。
そーゆーアレだよ。

いくらなんでも理解できただろ?

ほらほら。
理解した上で、ちゃんと見て。

目の前で。
キラキラ女子が。
瞳を潤ませて。

アンタみたいな非リアの愛を欲しているよ。

与えずにはいられないでしょう?

大きな、だが繊細そうな手でユイの肩をそっと掴んだ要が、薄い唇をゆっくりと開く。


「えー…
悪いケド、無理。
君には僕が愛でる価値はない」


そうそう、与えずには…


「…


えっ!? いられンの!?」


ユイはポンっと飛び出してしまうんじゃないかと心配になるほど目を剥き、上擦った声で叫んだ。

顔面崩壊、まさにソレ。

フラレた?

私が?

ボッチの非リアに?

しかも『価値はない』とか、ボソボソのクセに一刀両断レベルで完膚なきまでにバッサリフラレた?

意味がわからん。
怒りや悲しみをブっちぎって、全くもって意味がわからん。

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