花京院家の愛玩人形

「意味がわからん…」


ユイは茫然自失でポツリと呟いた。

心の声がダダ漏れデスネ。

顔面どころかキャラまで崩壊しちゃったユイの肩を軽く押して胸から剥がした要が、表情も変えずに口を開く。


「えー… 意味って…
あー… 無理な理由なら…
身体を使って男の気を惹こうとする魂胆が見え見えな態度も」


「人をビッチみたいに言うな。
てか『見え見え』ってアンタ、全然わかってなかったクセに」


「男を自分好みの江○2:50に仕立てる気満々な言動も」


「○頭が好みなワケじゃねーよ。
人の話は超解釈しないで正しく聞け」


「流行と男ウケを意識して作り込んだ容姿も」


「ソコに言及するのは鬼畜すぎンだろ」


「そーゆー、君の後ろに透けて見える人間的な生々しい欲が、生理的に受け付けないから?」


「…」


もう…なんも言えねェ。

コイツは刺されるべきだ。

愛され女子を目指して日々努力している世界中の女のコに、メッタ刺しにされるべきだ。


「バっカじゃないの!?
欲も打算も、あって当然なのよ!
アンタのカノジョだって同じなンだからね!」


落ちたごみバサミとごみ袋を拾ってそそくさと言い逃げしようとする要の背中に、ユイは鬼の形相で言葉の刃を突き立てた。

< 132 / 210 >

この作品をシェア

pagetop