花京院家の愛玩人形

ユイのコトは、冷た───い目で見てたクセにね。

彼女が人間だからなの?

人形だから、『アレ』には優しくしちゃうの?

見上げたペディオフェリアだな。


「眼窩は空洞のまま頭にドールアイをつけるっていうアグレッシブなビジュアルも、クラシカルなドーリィフェイスにデスボイスっていうイカレたギャップも、ぶっちゃけ嫌いじゃない。
話したカンジ、フィーリングも合いそうだし。
君には僕が愛でる価値がある」


ソレ、まじか!?

あぁぁ…
ユイちゃん、本当にお気の毒。

人間よりも人形を愛する変人が、甘い誘いを口にして一歩足を踏み出すが…


「コノ俺ニ、オマエノ人形ニナレト言ウノカ?
ククッ 面白イ冗談ダ」


ハイ、友好的な雰囲気はココまで。

『アレ』は空気を震わせ、低く、低く、嘲笑った。


「諦メル気ハナイシ、諦メル必要モナイ。
言ッテオクガ、俺ハ オマエガ『紫信』ト呼ブアノ人形ニ 近ヅケナイワケジャナイ。
近ヅキタクナイダケダ。
勘違イスルナヨ」


「ソレ、あんま変わンないから。
強がりカワイイな」


「黙レ。
ソレニ、だめーじカラ回復スレバ、他二イクラデモ 手ハアル。
アノ人形ノ左目ハ 俺のモノダ。
俺ノ『死せる生者の宝玉』ダ。
イズレ必ズ取リ戻ス」


「あー… そう。
フラれちゃったか。
残念だケド、仕方ないね。
じゃあ僕は、あらゆる手で君を阻止するよ」

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