花京院家の愛玩人形


頬を引き締めて。
まばらにしか書籍が並んでおらず、隙間から向こう側の通路が見える本棚に手をついて。


「なぁ…
イイだろ?」


両腕の間に小柄な紫信をスッポリ収めたコージが、低く囁いた。

それから、いつになく真剣な表情で彼女を見下ろし…ここでトドメ。


「俺のモノになれよ」


野望達成してンじゃん、オメデト☆

って?
違ェよ。

あれから、何度も何度も攻めたの。
図書館で見かける度に攻めたの。

『いつも本ばっかじゃつまんないだろ?
近くにオープンしたワッフルの店、旨いらしいから行ってみない?』

なんてデートのお誘いをしてみても、

『まぁ、お戯れを』

で終了だし。

『俺、誰よりも君をトキメかせてあげられる自信があるケドな』

なんてさりゲに乗り換えを促してみても、

『まぁ、お戯れを』

で終了だし。

『本当に可愛いね…』

なんてイヤラシくない程度に手を伸ばしてみても…

ニコニコしながらキレーに避けやがる!
そりゃもう巧みに!華麗に!完璧に!

どーなってンだ、このコ!?

男のあしらい上手すぎねェか!?
実は百戦錬磨なのか!?

てか、まだ名前も直に聞けてねェェェェェ!!??

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