花京院家の愛玩人形
Ⅶ
頬を引き締めて。
まばらにしか書籍が並んでおらず、隙間から向こう側の通路が見える本棚に手をついて。
「なぁ…
イイだろ?」
両腕の間に小柄な紫信をスッポリ収めたコージが、低く囁いた。
それから、いつになく真剣な表情で彼女を見下ろし…ここでトドメ。
「俺のモノになれよ」
野望達成してンじゃん、オメデト☆
って?
違ェよ。
あれから、何度も何度も攻めたの。
図書館で見かける度に攻めたの。
『いつも本ばっかじゃつまんないだろ?
近くにオープンしたワッフルの店、旨いらしいから行ってみない?』
なんてデートのお誘いをしてみても、
『まぁ、お戯れを』
で終了だし。
『俺、誰よりも君をトキメかせてあげられる自信があるケドな』
なんてさりゲに乗り換えを促してみても、
『まぁ、お戯れを』
で終了だし。
『本当に可愛いね…』
なんてイヤラシくない程度に手を伸ばしてみても…
ニコニコしながらキレーに避けやがる!
そりゃもう巧みに!華麗に!完璧に!
どーなってンだ、このコ!?
男のあしらい上手すぎねェか!?
実は百戦錬磨なのか!?
てか、まだ名前も直に聞けてねェェェェェ!!??