花京院家の愛玩人形

日本は午後1時すぎ。
現在サマータイム期間中のイタリアは午前6時すぎ。

紫信は遅めの昼食を。
優斗は早めの朝食を。

スカイプを繋いで一緒に楽しんでいるというワケ。

なるほど。

コレは要には内緒にせざるを得ないわ。

バレたら、ものスっっっゴく嫌な顔されそーだわ。

なーんでこんな事態になったの?

それは、ね。

ある日の掃除中、偶然に偶然が重なってPCを起こしてしまった紫信が、偶然に偶然が重なって優斗からの着信を取ってしまったからで…



嘘デス。
ゴメンナサイ。

確信犯だった。

紫信は要の留守を狙って、優斗からの連絡を待っていた。

どうしても確認しておきたかったからだ。

人間である要が、人間ではない自分を、しかも要自身が作ったモノではない得体の知れない人形を傍に置いていることを、肉親である優斗が本当はどう思っているのかを。

もしも反対されたら。

もしも許しを得られなかった、その時は…

うん。

それなりの覚悟で、出逢いからココに至るまでの経緯を包み隠さず明かしたンですケドね。


「障害があって、恋敵がいて、愛しい人をつけ狙う敵まで現れて…
まるでフィクションみたいな大恋愛じゃないか!
要くんもやるなぁ!」


などと優斗は陽気に笑った。

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